【第5回】「後医は名医」──最後に出てきた人が、一番評価されるのはなぜ?
こんにちは。院長の望月です。
本格的に花粉症の季節ですね。症状にお困りの方はいつでもご相談ください。
さて、今回は、1つのことわざについてご紹介します。
これは、私が研修医の時に恩師から教えていただいた言葉です。
「後医は名医(こういはめいい)」ということわざを聞いたことがありますか?
これは、最初に診察したお医者さんよりも、後から診たお医者さんのほうが優秀に見える、
という意味の言葉です。
たとえば、ある病気がなかなか治らなかったのに、
別のお医者さんが診たらすぐに原因がわかって、あっという間に回復した……
そんなとき、「さすが、あの先生は名医だ」と言われたりします。
でも、それは前のお医者さんが症状を見て、たくさんの検査や治療を試してくれたからこそ、
後の先生が正しく判断できた、という場合も多いのです。
症状が進行したことで診断がしやすくなる場合も少なくありません。
決して、前のお医者さんの対応が悪かったわけではありません。
治療において、症状の経過を見ることも診断の一助となるのです。
だからこそ、過去の経過を理解している、同じ先生に診てもらうことが大切です。
このことわざは、医療だけに限らず、私たちのまわりのいろんな場面に当てはまります。
たとえば仕事の現場。
ある人が一生懸命取り組んだけれど、なかなか成果が出なかったプロジェクト。
そこに新しく入った人が少し方法を変えただけで、うまくいったとします。
すると、その人だけが評価されて、「やっぱりあの人はすごいね」と言われることがあります。
でも、本当は前任者が時間をかけて土台を作り、失敗を重ねて得たデータや経験があったからこそ、成功にたどり着けたのです。
「後医は名医」という言葉には、そんな“先にがんばった人の苦労が見えにくい”という皮肉も込められています。
私たちはどうしても、最後に結果を出した人に注目してしまいがち。
でも、目に見えない努力や、結果に結びつかなかった挑戦があってこそ、成功が生まれているのです。
最後に
仕事でも、チームでも、家庭でも、「今評価されている人」だけを見るのではなく、そこにたどり着くまでに何があったのかを想像できる人でありたいですね。
“見えない努力”に気づける人は、きっと人間関係にも深みが出てくるはずです。
一度の診察で症状が改善しない場合は、いつでもご相談下さいね。